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転職をしないリスクとは?バイリンガルSさんの例

sherpa

現状に満足できず、転職が頭によぎった時、多くの人は「転職することで失うことになる現状」のことをまず考えるはずです。

現状がいくら辛くても人間は「変化を嫌う」もの。

例えそれが良い変化であっても、それにはストレスとリスクが伴います。

ということは現状にある程度満足しているとなると、何か変えることでさらにベネフィットがあると頭では思えても、それをわざわざ変えようとは思えないのが人間の自然な本能なのではないでしょうか。

今日は、変化を嫌う「変化 = リスク」 と思ってしまう思考そのものがもたらすリスクについて日本語・英語バイリンガルのSさんの例で考えてみたいと思います。

外資系で順調なキャリアのスタート

日本で生まれ育った純国内派のSさん。

そんな彼は北米の大学を卒業した後帰国し、ヨーロッパの有名コンシューマ会社に入社しました。

誰もが一度は聞いたことのある日常生活用品を扱う彼の会社は、その技術力と唯一無二のブランド力で長年市場の中では優位な位置にいました。

外国の大学で学位を取得し、英語と日本語のバイリンガルスキルを持つ彼。

留学のため就職をしたのは20代後半でしたが、当時の年収は周りに比べると割と高い方で、良いスタートを切る事ができていました。

そんな彼から連絡を受けた転職シェルパ。

最近彼から連絡をもらい、彼に起こった意外な事実を知ることになりました。

風通しの良いカルチャーとワーライフバランスが保てる環境

彼は会社の主力商品がとても好きで誇りを持っていました。

また経営が安定していてリラックスした雰囲気の会社はワークバランスが良く、留学をしていた時に心配だった日本企業特有の残業や飲みなどの付き合いはほぼありませんでした。

また実力があって気の合う同僚たち、自分を評価してくれる上司に恵まれ、彼の仕事は至って順調でした。

そんな会社で20代後半を過ごした彼は、30代に入っていくと思ったように給料が伸びていないことや、キャリアパスの悩みが少し出てきて、転職を考えた時期もありました。

しかし、働き盛りの年代ということもあり、周りの友人には毎日残業や出張で健康を損ねる人もいて、ワーライフバランスが抜群でここまで恵まれた自分の環境を捨てるのはリスクが高すぎると感じ、なかなか転職しようと気持ちにはならなった彼でした。

そうこうしているうちに彼は結婚。

そして数年後の2020年、コロナ禍の中で仕事をすることになります。コロナ禍で元々ワークライフバランスが良かった会社は、完全なリモート体制に切り替わり、日々の長時間の通勤が不要になりました。

子供が生まれ長い通勤が辛くなっていた彼にとって、これ以上嬉しいニュースはありませんでした。

リスクと取らない事がリスクとなる時

しかし子供が少し大きくなってくると、彼は給与が伸び悩んでいることが心配になってきたようです。

勤務年数が重なるに連れて、入社時よりはやや多くを稼ぐようになっていましたが、と仕事の能力を考えると、給与の増加はごくわずか。

能力を評価されてないという気持ちもありましたが、会社に対する忠誠心は硬いものでした。

ワーライフのバランスと会社のカルチャーの良さを考えるとどうしても思い切って転職しようと思えなかったと言います。

今は以前のように働けない妻を考えると、子供が少し成長するまでは、今の会社に留まるのが賢明だと思っていました。

しかし、最近に転機が訪れました。

やり手の直属の上司が、その業績を評価されず昇進を逃すと、長年勤めた会社を辞めていってしまいました。

追い打ちをかけるようにコロナ禍が落ち着いてくると、会社は完全なリモートワークから、在宅を週に1日だけしか許可しないというふうな方針を打ち出してきました。

通勤時間が長い彼にとって、オフィスに週4日も出勤するのは、子供との日常に大きな影響を与えるものでした。

困った彼はシェルパに連絡をしてきました。

久しぶりに繋がった彼の話を聞き、シェルパは転職することのリスクよりも危険な「現状に長く留まりすぎるリスク」とそれを回避するために必要なことについて考えてみました。

1. 時間は最も大切な財産である

待っているだけでは、時間ばかりが過ぎていき、待つほど変化が難しくなってくる可能性が高いです。上司と話し、キャリアパスとモチベーションをはっきりさせましょう。

同じ会社にいながらキャリアを伸ばしていきたい場合、定期的に自分から自身の目標を会社に伝えることが重要です。

会社が自身がより多くの責任を引き受けることを望んでいることを知らせ、これからのキャリアについての明確にしておきましょう。

2. 動く時期を見極め、リスク回避のためにリスクを取る

現在の仕事がパフォーマンスに見合った職務の成長や給与の増加の機会を提供していない場合、転職で現状を変える時期かもしれません。

変化を探し求めるをためらわないでください。キャリアの軌跡は自分の手にかかっており、時には新しい環境が必要なチャンスを提供するかもしれません。

3. 転職の福利効果とリスクを天秤にかけて考慮する

転職をする度に現在の給料の平均10%の増加を期待できます。Sさんの場合、同じ会社で毎年2%ずつ給与が伸びて行きましたが、彼がその間3回転職をしたと仮定すると給与の増加の違いはほぼ2倍。

一般的に同じ会社に止まる場合、毎年的確な評価をされても2~3%以上の伸びは期待できないのが普通です。毎年、業界ごと、職種ごとの平均給料を見ることができるので、今のキャリアと合わせて自分の給料が的確か調べるようにしましょう。

外部で競争力のある報酬パッケージを提供する場合、他の機会を探る時期かもしれません。また新たな可能性を探ることを恐れず、戦略的に転職をしていくことで給与を伸ばしていくことができるということを覚えておきましょう。

自分が好きだと思える仕事、職場のみんなに出会えるのは確かに嬉しいことですが、会社が好きでそれを失うというリスクを取りたくないという理由で、キャリアの成長と経済的利益を犠牲にしないようしましょう。

日々業務をこなしていく中で、キャリアが停滞しているという兆候がある場合、新たな可能性に踏み出ることをためらわないことが長期的な目線でリスクを回避する機会に繋がりますし、誰もが欲しいチャンスは、変化を受け入れる意欲を持つ人々に待っているかもしれません。

リスクをとってリスクを回避、そして給与アップを狙う

最後に適切な時期にキャリアと将来の給与アップ掴むため、日頃やっておきたいことをまとめてみました。キャリアのステップアップのため、覚えておくようにしましょう。

上司との関係を日頃から確立する

  1. オープンかつ誠実なコミュニケーション:上司やマネージャーとの会話を開始し、キャリアの目標と給与の期待値を話し合いましょう。透明性が鍵です。
  2. フィードバックと改善点について話し合う:定期的にパフォーマンスに関するフィードバックを要求し、改善すべき点を特定します。このフィードバックを建設的に活用してスキルと能力を向上させましょう。
  3. 明確なキャリア目標を設定する:明確なキャリア目標を設定することが重要です。長期的なキャリア目標を明確にし、定期的に現在の会社でこれらの目標が達成可能かどうかを確認しましょう。どこに行きたいのかを知っていることは、そこへ行くための計画を立てるために不可欠です。
  4. メンタリングプログラムに参加する:会社がメンタリングプログラムを提供している場合、それを活用しましょう。経験豊富な同僚から学ぶことは、成長を加速させることができます。
  5. 成果と実績をアピールする:会社内での成果を文書化し、伝えましょう。可能な限り成功を数量化して、自身の価値を示しましょう。給与査定の時が来たら、自身の成果と貢献を自信を持って提示しましょう。昇給に値する理由を説得力をもって示しましょう。

プロフェッショナルとしての自己管理

  1. 継続的な学習と成長:キャリアの目標に合致するワークショップ、カンファレンスへの参加、またはコース受講などを通じて、専門分野を最新の状態に保ちましょう。これは成長へのコミットメントを示します。
  2. 定期的に自分の仕事の中身と業績を記録に残しまとめておく
  3. キャリア開発の機会を探す:会社が内部のキャリア開発プログラムや昇進の機会を提供している場合、それについて尋ねましょう。多くの組織がこれらを導入しています。
  4. 市場の給与をモニターする:業界の給与基準について情報を収集し、自身の報酬が競争力を持っていることを確認しましょう。そうでない場合、雇用主と交渉を検討しましょう。市場を理解した後、あなたは自分の業界の給与平均があなたの期待に達しないことに気付くかもしれません。この場合、あなたの目標を達成するためには業界を変える必要があることが明確です。
  5. 忍耐と粘り強さ:キャリアの成長と給与の増加には時間がかかることがあります。自身の目標に対する忍耐と粘り強さを持ち、努力にコミットしましょう。

社内での同僚・チームの関係

  1. リーダーシップスキルを示す:プロジェクトやチーム内で追加の責任を引き受けたり、リーダーシップの役割を果たすことで、主導性を示しましょう。より大きな課題を処理できる能力を証明します。
  2. 関係構築とネットワーキング:同僚、上司、組織内の意思決定者との良好な関係を築きましょう。ネットワーキングは新たな機会の扉を開くことがあります。
  3. クロスファンクショナルな協力:異なる部署の同僚と協力し、ビジネスのさまざまな側面に触れ、スキルセットを広げましょう。
  4. 会社の価値観と調和する:自身の行動と貢献が会社のミッションと価値観と一致することを確認しましょう。これは組織の成功へのコミットメントを示します。
  5. 適応力を持ち、変化を受け入れる:変化に対してオープンであり、会社のニーズや業界のトレンドの変化に適応しましょう。変化を受け入れる意欲は、貴重な資産となります。

キャリアのチャンス・給与の伸びは必ず能力と比例するとは限らない

転職シェルパの周りにはバイリンガルで仕事の能力の高い人がたくさんいますが、彼ら皆んながそれに見合うキャリアと評価(人脈・金銭的な面)をもらっているとは限りません。

そしてこれまでの経験では個々人が持つキャリアのタイミングとその戦略、チャンスの掴み方に影響されることが多いことを目にしてきました。

普段から戦略的に転職をすることが持つ肯定的な側面を頭の隅に置き、上記に述べたように日頃から、自己管理、社内での同僚・チーム、上司との関係を確立していき、またそれを転職に上手に利用して自分の価値を高めましょう。

変化するタイミングを見極める能力と適切なリスクを取ることこそが究極のリスク回避戦略になることも覚えておいてください!

それでは次回の投稿でお会いしましょう。

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